【信頼とは何か?】正体は”目に見えない貯金”だった|お金より先に貯まるもの

目次
【この記事の超要約】
・信頼は【貯金できる資産】です。銀行の口座と同じで、残高が増えたり減ったりします
・約束を守れば入金、破れば引き出し。しかも【入金は少しずつ、引き出しは一瞬】
・残高が増えると、同じ言葉でも通り方が変わり、値段より先に「あなたなら」で選ばれます
・今日からできるのは、ひとつだけ。【確実に守れる小さな約束を、ひとつ決める】こと
本文
こんにちは、ナンブです。
前回、お金は経済の血液という話を書きました。
そのとき、書きながらずっと引っかかっていたことがありまして。
【お金って、実は最後にやってくるものだよな】と。
その手前に、必ずもうひとつ何かがある。
それが今日の話です。
●信頼とは何か?

信頼とは【相手の心の中に積み上がっていく、目に見えない残高】です。
お金と違って財布には入っていませんが、ちゃんと増えたり減ったりしています。
スティーブン・R・コヴィーさんの『7つの習慣』という本に、【信頼残高】という考え方が出てきます。
人の心の中には「あなた専用の口座」があって、そこに信頼が貯まったり減ったりしている、という見方です。
僕はこの考え方を知ったとき、けっこう衝撃を受けました( ゚Д゚)
というのも、それまで僕は「信頼」を、あるかないかの2択で考えていたんですよ。
信頼されているか、されていないか。
ゼロか100か。
でも実際は【残高】なんですよね。
50のときもあれば、10まで減っているときもある。
そして、増やすことも減らすこともできる。
つまり、信頼は【自分で操作できるもの】だったわけです。
●なぜ、信頼は「貯金」にたとえられるのか?

入ってくる仕組みと、出ていく仕組みが、銀行口座とまったく同じだからです。
日々の行動が、そのまま入金と引き出しになります。
何が入金で、何が引き出しなのか。並べるとこんな感じです。
・入金
約束を守る/時間を守る/相手の話を最後まで聞く/その場にいない人をほめる
・引き出し
約束を破る/言い訳する/相手を雑に扱う/その場にいない人を悪く言う
見ていただくと分かると思うんですが、どれも特別なことじゃないんですよ。
才能もいらないし、お金もかからない。
ただ、地味です。
とんでもなく地味。
そして、ここが残酷なところなんですが、【入金はコツコツ、引き出しは一瞬】なんですよね。

3年かけて貯めた残高が、たった一度の裏切りでごっそり持っていかれることがあります。
……と偉そうに言ってますが、僕も過去にやらかしてます(‘Д’)
「まぁこれくらい大丈夫だろう」で返事を先延ばしにして、気づいたら相手の中で自分の評価が静かに下がっていた、みたいなこと。
引き出しって、通知が来ないんですよ。
ここが一番こわいところです。
●走れメロスは、なぜ最後まで走れたのか?

答えははっきりしていて、【自分の名誉ではなく、友の命がかかっていたから】です。
そして友のほうも、待てるだけの残高を持っていました。
学校で読んだ方も多いと思います。
太宰治の『走れメロス』。
念のため、話の骨だけ振り返っておきますね。
・メロスは王に処刑されることになるが、妹の結婚式のために3日の猶予を願い出る
・その代わり、親友のセリヌンティウスを人質として置いていく
・戻らなければ、友が代わりに殺される ・道中、川が氾濫し、山賊に襲われ、疲れ果てて一度は諦めかける
・それでも走り、約束の刻限ぎりぎりに戻ってくる
この話、子どもの頃は「メロスすごいな」で終わっていたんですけど。
大人になって読み返すと、【本当にすごいのはセリヌンティウスのほうじゃないか?】と思うようになりました。
だって、彼は何もしてないんですよ。
ただ待っているだけ。
しかも、外れたら自分が死ぬ。
それでも待てたのは、メロスとの間に【もう十分すぎるほど残高があった】からですよね。
ここが大事なところで、あの物語は【3日間で信頼を作った話ではない】んです。
3日間で試されたのは、それまでの何年分かの残高のほうです。
僕らも同じで、いざというときに助けてもらえるかどうかは、その瞬間の頼み方では決まりません。
もうとっくに、決まっているんですよね。
●信頼残高が増えると
何が起きるのか?

同じ言葉が、まったく違う重さで届くようになります。
中身が変わるのではなく、通り方が変わります。
具体的には、こんなことが起きます。
・多少のミスをしても「まぁ、あの人なら何か事情があるんだろう」で済む
・売り込まなくても「あなたにお願いしたい」と向こうから声がかかる
・値段の話より先に「あなたなら」で選ばれる
3つ目、けっこう大きいと思っていて。
僕は昔、美容師をしていました。
今は慢性痛が原因で引退して、物販の仕事をしていますが。
美容室って【指名】という仕組みがありますよね。
あれ、あらためて考えるとすごい仕組みだなと思うんです。
だって、店の中でいちばん技術の高い人に、お客様が全員集まるわけじゃないんですよ。
もちろん技術は大事です。
でも、それだけで決まっているわけではない。
そこで効いているのが、【この人になら任せられる】という残高のほうなんですよね。
逆に言うと、残高がゼロの状態だと、勝負するところが【値段しかなくなる】。
安くしないと選ばれない、という状態は、腕が悪いからじゃないんです。
まだ、残高が貯まっていないだけなんですよ。
●今日からできる「入金」は、何をすればいいのか?

【確実に守れる、小さな約束をひとつ決めること】です。
大きな約束はいりません。
むしろ邪魔になります。
なぜ小さくするかというと、【守れない約束をした瞬間に、それは引き出しに変わる】からです。
「今度ごはん行きましょう」を10回言って1回も行かない人より、「来週の火曜に連絡します」を毎回守る人のほうが、残高は静かに積み上がります。
たとえば、返信のルールをひとつ決めてしまう。
すぐに答えを出せないときでも、その日のうちに一度「受け取りました。◯日までに返します」とだけ返しておく。
これ、内容は何も進んでいないんですよ。
でも相手からすると【放置されていない】という状態になる。
それだけで引き出しが起きません。
もうひとつ、効く入金があります。
【その場にいない人をほめる】ことです。

これ、地味なわりに効き目が大きい。
なぜかというと、聞いている人は無意識にこう考えるからです。
「この人は、自分がいないところでも、自分のことを悪く言わないんだろうな」と。
逆もまた同じで、目の前で誰かの悪口を言う人は、【自分がいないところでも同じことをする人】に見えます。
その瞬間、口座から静かに引き出されているわけですね。
●2300年以上前のギリシャでも
同じ話をしていた

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは『弁論術』という本の中で、【人を動かす力は3つある】と整理しています。
その3つが、こちらです。
・ロゴス = 筋の通った理屈
・パトス = 相手の感情に働きかける力
・エートス = 語り手そのものの人柄・信頼
そして面白いのが、この中で【エートスがもっとも強い】という趣旨のことが書かれている点なんですよね。
つまり、【何を言うかより、誰が言うか】。
2300年以上前に、もう結論が出ていたわけです。
僕はこれを知ったとき、正直ちょっとぐうの音も出ませんでした。
というのも、発信を始めた頃の僕は、完全にロゴス一本槍だったからです。
正しいことを、分かりやすく、たくさん書けば伝わるはずだと。
でも、伝わらないんですよね~
同じ内容でも、信頼されている人が言えば「なるほど」になり、そうでない人が言えば「で、あなた誰?」になる。
これは意地悪でも何でもなくて、人間はそういうふうにできているんだと思います。
だとしたら、僕らがやることはシンプルです。
【うまく言おうとするより、先に残高を貯める】
順番が逆だと、どれだけ言葉を磨いても届きません。
●「お金」と「人間関係」を
またぐ資産です

このブログでは、人生を【お金・健康・人間関係という3つの資産を育てるゲーム】として見ています。
今日の信頼の話は、そのうちの【お金】と【人間関係】の、ちょうど真ん中にあるものです。
というより、この2つは元々つながっているんですよね。
・信頼が貯まる → 人が集まる(人間関係の資産)
・人が集まる → 仕事や機会がやってくる(お金の資産)
・お金の使い方が丁寧になる → さらに信頼が貯まる
ぐるぐる回っているんです。
前回の記事で「お金は血液」という話を書きましたが、だとすると信頼は【血管】かもしれません。
血液がどれだけあっても、通り道がなければ届かない。
そして血管は、一日では作れないんですよね。
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●まとめ
今日の話を、短くまとめます。
・信頼とは【相手の心に積み上がる、目に見えない残高】。ゼロか100かではなく、増減する
・約束を守れば入金、破れば引き出し。【入金はコツコツ、引き出しは一瞬】
・引き出しには通知が来ない。だから日々の小さな誠実さが効いてくる
・『走れメロス』が試したのは3日間の根性ではなく、それまでに貯めた残高のほう
・残高が増えると、値段より先に【あなたなら】で選ばれる
・今日からできる入金は【確実に守れる小さな約束をひとつ決める】ことと【その場にいない人をほめる】こと
・アリストテレスも2300年以上前に「何を言うかより誰が言うか」と結論を出している
いつか子どもたちが「どうすればお金を稼げるの?」と聞いてきたら、僕はたぶん、こう答えると思います。
「まず、約束を守れる人になろうか」と。
遠回りに見えて、これがいちばん確実な元手だと思っているので。
あなたが今日守れる小さな約束は、どんなことですか?
最後までお読みいただきありがとうございました。



