夜、考えごとが止まらない人へ|禅が使ってきた「一言に置き換える」方法

目次
【この記事の超要約】
・夜に考えごとが止まらないのは、意志が弱いからではありません
・【「考えないようにしよう」とすると、かえって考えてしまう】からです
・禅の人たちが使ってきたのは、考えを止める方法ではなく【別の一言に置き換える】方法でした
・今日は、僕が実際に使っている言葉を2つ紹介します
本文
こんにちは、ナンブです。
電気を消して、目を閉じて、さあ寝るぞ、というタイミング。
なぜかそこで、昼間のやりとりが再生され始めることってないですか?
「あの言い方、まずかったかな」
「あれ、返事してなかったかも」
「来月の支払い、大丈夫だったっけ」
……はい、僕もあります。
しょっちゅうあります(‘Д’)
しかもこれ、朝考えれば5分で片づく話だったりするんですよね。
なのに夜だと、なぜか永遠に終わらない。
今日はその話をします。
●なぜ夜になると
考えごとが止まらないのか?

【やることが無くなって、頭だけが手持ち無沙汰になるからです】
日中は動いているので、考えが入り込む隙間がありません。
日中って、やることがありますよね?
仕事をして、人と話して、ごはんを食べて、移動して。
体も口も動いているので、頭は「今やっていること」に使われています。
ところが夜、布団に入った瞬間に、体は止まります。
目からの情報も止まる。
音も止まる。
そこで初めて、頭が空くんですよね。
【空いた頭は、勝手に何かを始めます】
そして厄介なことに、そこで始まるのはたいてい楽しい思い出ではありません。
うまくいかなかったこと、言い過ぎたこと、まだ片づいていないこと。
そっちばかりが出てくる。
これ、性格の問題だと思っている人が多いんですが、僕はそうではないと思っています。
【静かになると、置き去りにしていたものが顔を出す】
ただそれだけのことなんですよね。
●「考えないようにしよう」は何故
逆効果なのか?

【考えないようにするには、まず何を考えないかを思い浮かべる必要があるからです】
つまり、やろうとした時点で負けています。
ちょっと試してみてください。
これから10秒だけ、【白いクマのことを考えないで】ください。
……どうでしたか?
たぶん、頭の中に白いクマが出てきたと思います。
「考えるな」という命令は、まず対象を呼び出さないと実行できないんですよね。
だから、消そうとするほど濃くなる。
夜の反省会も、まったく同じです。
「もう考えるのやめよう!」
そう思った瞬間に、何を考えるのをやめるのかを頭が確認しにいく。
そしてまた最初から再生が始まる。
僕はこれを何年もやっていました。
気合いで止めようとして、毎回負けていました。
【引き算では、消えないんです】
●禅の人たちはこの問題を
どう扱ってきたのか?

【消そうとするのではなく、別のものを置く。つまり足し算で対処してきました】
ここが、僕がいちばん「うまいな」と思ったところです。
坐禅をしていると、当然ながら雑念が出ます。
修行している人でも出ます。
というか、出ないほうがおかしい。
でも禅の世界では、「雑念を消しなさい」とは言わないそうなんですよね。
代わりにあるのが、【短い言葉】です。
意味の詰まった一言を、自分の中にポンと置く。
すると、頭の中の席がその言葉で埋まります。
頭って、同時にいくつものことをちゃんと考えられません。
【何かを置けば、他のものは座れない】
だから、消すのではなく、置く。
僕はこれを知ったとき、けっこう衝撃を受けました。
根性で止めるんじゃなくて、道具を使うんだ、と。
しかも、その道具は数百年ぶん試されて残ってきたものです。
こういう言葉のことを【禅語(ぜんご)】といいます。
僕はお茶や瞑想をやってきた流れで、この禅語をこつこつ集めるようになりました。
●夜に使っている言葉①
「莫妄想(まくもうぞう)」

【余計な思いをこねくり回すのはやめて、今に戻りなさい、という意味の禅語です】
漢字を見ると、そのまま「妄想する莫(なか)れ」ですね。
ここでいう妄想は、変な意味ではありません。
まだ起きていないことを、頭の中で先に体験してしまうことです。
夜の反省会で僕らがやっているのは、まさにこれなんですよね。
「あの人、怒っているかもしれない」
……怒っているかどうかは、まだ分かりません。
「来月、まずいことになるかもしれない」
……なるかどうかも、まだ分かりません。
つまり、【起きていないことに、先に反応している】
これに気づくと、けっこう馬鹿らしくなります。
僕は布団の中で、心の中でこの3文字を言います。
莫妄想。
それだけです。
ポーズも呼吸法も要りません。
止まらない日もあります。
でも「あ、今それやってるな」と気づけるだけで、勢いは確実に落ちます。
言葉の役割は、消すことではなくて【気づかせること】なんだなと思います。
●夜に使っている言葉②
「前後際断(ぜんごさいだん)」

【過ぎたことと、まだ来ていないことを切り離して、今だけを生きなさい】
という意味です。
曹洞宗を開いた道元が『正法眼蔵』の中で説いた言葉として知られています。
こちらは、莫妄想より少し重たい言葉です。
夜に思い出すことって、だいたい2種類しかないんですよ。
・もう終わったこと(後悔)
・まだ来ていないこと(不安)
つまり【過去】と【未来】です。
そして面白いのは、「今この瞬間に困っていることは、実はほとんど無い」ということなんですよね。
布団の中は、暖かい。
体も横になっている。
今この瞬間だけを見れば、何も起きていない。
困っているのは、【頭の中の時間】だけ。
前後際断は、その時間の帯の両端を、はさみで切り落とすイメージです。
過去を切る。
未来を切る。
残るのは、今の一息だけ。
……もちろん、これで全部が解決するわけではありません。
現実の問題は、朝になったらちゃんと片づけないといけない。
でも夜のうちに片づけようとしないことは、できます。
夜の頭は、判断が下手ですからね。
※眠れない日が続くとき、つらさが強いときは、我慢せず医療機関にご相談ください。ここに書いたのは、あくまで僕がやっていることです。
●なぜ、たった一言でも
意味があるのか?

【自分の状態に名前をつけると、そこから一歩離れて見られるようになるからです】
これ、けっこう大事なところだと思っていて。
反省会の真っ最中って、自分と考えがぴったりくっついています。
自分=悩んでいる人、になっている。
そこに「莫妄想」と一言置くと、何が起きるか。
【あ、今の自分は妄想のほうに行ってるな】という見方に変わるんですよね。
悩んでいる自分と、それを見ている自分に、少しだけ分かれる。
この「少しだけ離れる」が、想像以上に効きます。
言葉が短いのにも意味があると思っていて。
長い教えは、夜の頭では思い出せません。
3文字なら、半分寝ていても言えます。
【疲れているときに使える道具】であることが、実は一番大事なんですよね。
ちなみに、こういう言葉をまとめて持っておくと、その日の状態に合わせて選べるようになります。
僕はそれをやりたくて、集めた禅語の中から使えるものだけを79語えらんで、note に有料記事としてまとめました(このあと詳しく書きます)。
●これは「健康の資産」を育てる話

このブログでは、人生を【お金・健康・人間関係という3つの資産を育てるゲーム】として見ています。
今日の話は、そのうち「健康の資産」の、目に見えない部分です。
夜の考えごとって、体を使っていないので疲れていないように見えます。
でも実際は、しっかり消耗するんですよね。
しかも、消耗した状態で朝を迎えるので、次の日にそのまま持ち越します。
・眠りが浅い(健康の資産)
・翌日、頭が働かないので仕事が進まない(お金の資産)
・余裕がないので、家族に雑に当たってしまう(人間関係の資産)
……はい、3つとも減っています。
夜に頭を休められるかどうかは、翌日の3つ全部につながっているんですよね。
以前、「なんとなく不調」の記事で、体に見えないゴミが溜まる話を書きました。
頭の中にも、同じことが起きていると思っています。
●もっと言葉を持っておきたい人へ
ここまで読んで「使えそうだな」と思った方へ、ひとつお知らせです。
僕が集めてきた禅語の中から、【人生を楽にしてくれるもの】だけを79語えらんで、1冊にまとめました。
note で公開しています。
有料記事で、価格は【480円】です。
【人生を楽に生きる為の「禅語集」】
※クリックすると購入サイトへ飛びます
中身は、言葉の意味だけを並べたものではありません。
【どういう状態のときに、どの言葉を使うか】という順番で並べてあります。
夜、眠れないとき。
焦っているとき。
人と比べてしまうとき。
がんばりすぎているとき。
そういう状態から引けるようにしてあるので、【調子が悪いときに開ける】形になっています。
⚠️正直に書いておきます。
これを読んだから眠れるようになる、というものではありません。
僕自身、いまだに夜の反省会をやる日があります。
ただ、手ぶらで夜を迎えるより、言葉をひとつ持っているほうがラクだということは、はっきり言えます。
今日の記事の2語だけでも十分に使えるので、まずはそれで試してみてください。
そのうえで「もっと欲しい」と思ったときに、思い出してもらえたら嬉しいです。
●この記事も読まれてます
●「なんとなく不調」の正体とは?体に溜まる”見えないゴミ”の話
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●座り過ぎに注意|運動していても「座っている時間」は別問題です
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●まとめ

今日の話を、短くまとめます。
・夜に考えごとが止まるのは、体が止まって頭だけが手持ち無沙汰になるから
・⚠️「考えないようにしよう」は逆効果。消すには、まず思い浮かべる必要があるため
・禅のやり方は【消す(引き算)】ではなく【別の言葉を置く(足し算)】
・頭は同時にいくつも考えられない。何かを置けば、他は座れない
・莫妄想(まくもうぞう)=【まだ起きていないことに、先に反応しない】
・前後際断(ぜんごさいだん)=【過去と未来を切り離して、今だけを見る】(道元『正法眼蔵』)
・言葉が効くのは、自分の状態に【名前がつくと、一歩離れて見られる】から
・短い言葉であることが大事。長い教えは、夜の頭では思い出せない
・⚠️眠れない日が続くときは、我慢せず医療機関へ
子どもが夜に「眠れない」と言ってくることが、たまにあります。
そういうとき、理由を聞いても本人もよく分かっていません。
だから最近は、こう言うようにしています。
「今、なんにも起きてないよ」と。
……これ、前後際断を子ども向けに言い換えただけなんですけどね。
数百年前の言葉が、こんな形で役に立つとは思っていませんでした。
今夜、頭の中がうるさくなったら、4文字だけ思い出してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。



